建設業許可の種類
29の建設業種
建設業許可を受けるためには29種類の業種を指定して申請します。申請する業種は1業種でもいいですし、要件を満たす場合他の業種と併せて申請することもできます。
29の建設業種
土木一式工事業、建築一式工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、電気工事業、管工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、機械器具設置工事業、熱絶縁工事業、電気通信工事業、造園工事業、さく井工事業、建具工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、清掃施設工事業、解体工事業
平成28年6月1日、約40年ぶりに建設業許可の業種区分が見直され、新たに「解体工事業」の許可が新設されました。
許可の要件でもある「経営業務管理責任者としての経験」について、平成28年6月1日前における「とび・土工工事業」にかかる経験は、解体工事業にかかる経営業務管理責任者の経験とみなします。
通常は、同時期に2つの業種について実務経験が証明可能であっても、実務経験期間の重複は認められません。しかし、平成28年5月31日までに請け負った「旧とび・土工工事業」の実績での実務経験に限り、同期間の中に解体工事の実績があれば、実務経験期間が重複していても双方の実務経験期間に計上が可能です。
土木一式工事業
土木系の建設工事のうち、原則として元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に土木工作物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施行される大規模かつ複雑な工事をいいます。
具体的には、橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、区画整理、道路・団地等造成(個人住宅の造成は含まない)、鉄道軌道(元請)、公道下の下水道工事等の大規模な工事を一式として請け負うものが該当します。
建築一式工事業
建築系の建設工事のうち、原則として元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に建築物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施行される大規模かつ複雑な工事をいい、建築確認を必要とする規模の建物の新築工事や増改築の工事が該当します。
「土木一式工事」と「建築一式工事」は、他の27業種の「専門工事」とは異なり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物又は建築物を建 設する工事とされています。 したがって、個別の専門工事として施工が可能である工事は「一式工事」には該当しません。 また、「一式工事」の許可を受けた業者が、他の専門工事を単独で請け負う場合は、その専門工事の許可を受けなければなりません。
業種と業務内容
大工工事業
「木材の加工又は取付けによる工作物の築造、又は工作物に木製設備を取り付ける工事」を行う事業者を指します。構造体となる柱や壁など工作物を取付ける「大工工事」、仕上げ材や建具、据付什器などを取り付ける「造作工事」、造作を生成するための木型などの「型枠工事」が大工工事業にあたります。
左官工事業
「工作物における壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等のコテ塗りや吹付け、又は貼り付け工事」を行う事業者を指します。左官工事業では、コンクリートの土間うちや仕上げ前の下地工事が多いものの、漆喰などの塗り材仕上げの際は仕上げ工事もあたります。
また、厨房床などに多い防水モルタルを用いた防水工事は、左管工事と防水工事のどちらでも施工が可能です。
とび・土工工事業
足場の組立、重量物の運搬配置、工作物の解体、くい打ち、コンクリートにより工作物を築造する工事その他基礎的ないし準備的工事(はつり工事・アンカー工事・地盤改良工事。等々)があたります。事業範囲が広いため、様々な知識を要する業者として位置付けられています。
石工事業
石工事業者は「石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造、又は工作物に 石材を取付ける工事」を行う事業者を指します。
主な工事内容は、石積み工事、石張り工事、コンクリートブロック積み工事、コンクリートブロック張り工事です。
屋根工事業
瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事を行う事業者を指します。金属薄板にはステンレスやガリバリウム鋼板、トタンなどといった様々な種類があり、断熱工事なども行います。
電気工事業
発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事を行う事業者を指します。
電気工事業では主に、発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、非常用電気設備を含む構内電気設備工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事などを行います。
菅工事業
冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備の設置、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事を行う事業者を指します。
管工事業では主に、冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事を行います。
タイル・れんが・ブロック工事業
れんが、コンクリートブロック等により 工作物を築造、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事を行う事業者を指します。
主に、コンクリートブロック積み工事やコンクリートブロック張り工事、レンガ積み工事ヤレンガ張り工事、タイル張り工事、スレート張り工事、サイディング工事を行います。
鋼構造物工事業
形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事を行う事業者を指します。
主に、鉄骨工事や橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガスなどの貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、水門などの門扉設置工事を行い、鉄骨の製作から加工・組み立てまでの流れを一貫して請け負う事業者になります。
鉄筋工事業
棒鋼等の鋼材を加工、接合し、又は組立てる工事を行う事業者を指します。主に、鉄筋加工組立て工事と鉄筋継手工事を行います。
舗装工事業
道路等の地盤面をアスファルト、コン クリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事を行う事業者を指します。
主に、アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事を行います。また、人工芝取り付け工事なども一部、舗装工事に含まれています。
しゅんせつ工事業
河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事を行う事業者を指します。
しゅんせつとは、水底面にある土砂などを取り去る土木工事で、通常の土木工事よりも水辺に特化している点が特徴です。
板金工事業
金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事を行う事業者を指します。
主に、板金加工取付け工事、建築板金工事を行いますが、金属板を屋根に施工する場合など、屋根に関する板金工事は先ほどご紹介した「屋根工事業」に割り当てられます。
ガラス工事業
工作物にガラスを加工して取り付ける工事を行う事業者を指します。
主に、内外装におけるガラスの取り付け工事を行いますが、ガラスサッシなど建具として利用されるガラス施工は、後ほどご紹介する「建具工事業」に含まれます。
塗装工事業
塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗り付け、又ははり付ける工事を行う事業者を指します。
主に、塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事を行います。内外装の仕上げ前下地処理や最終仕上げ、さらには塗料を使ったコーティングなどがメインの仕事です。
防水工事業
アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事を担当する事業者を指します。
主に、アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事を行います。ただし、ここで指す防水工事はあくまで建築系(屋上や厨房床など)の防水工事であり、土木系(トンネルなど)の防水工事は含まれません。
内装仕上工事業
木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事を担当する事業者を指します。
主に、インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、 内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事を行います。
機械器具設置工事業
機械器具の組立て等により工作物を建設、又は工作物に機械器具を取付ける工事を行う事業者を指します。
主に、プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊戯施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事などを行います。
ただし機械器具設置に伴い、電気工事、電気通信工事、消防施設工事に触れる場合は、それぞれの許可を有する事業者へ依頼が必要になります。
熱絶縁工事業
工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事を行う事業者を指します。
主に、冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事を行います。
また、ウレタンを使った吹付け断熱工事も熱絶縁工事のひとつです。
電気通信工事業
有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事を行う事業者を指します。
主に、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、TV電波障害防除設備などの工事を行います。
造園工事業
整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化、又は植生を復元する工事を行う事業者を指します。
造園工事業者は主に、植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事を行っており、町やビルの緑化工事は造園工事業の仕事になります。
さく井工事業
さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事を行う事業者を指します。
「さく井」とは井戸を掘ることで、さく井工事業は主に、さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事を行います。
建具工事業
サッシやシャッターの取り付けなど、建具を設置する工事を行う事業者を指します。
主に、金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、 金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドア-取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事を行います。
水道施設工事業
上水道、工業用水道などのための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道もしくは流域下水道の処理設備を設置する工事を行う事業者を指します。
主に、取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事を行いますが、上下水に関する工事は、土木一式工事や清掃施設工事と関係があるので区分を確認する必要があります。
消防施設工事業
火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置、又は工作物に取付ける工事を行う事業者を指します。
主に、屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事を行います。
清掃施設工事業
し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事を行う事業者を指します。
清掃施設工事業者は主に、ごみ処理施設工事やし尿処理施設工事を行います。
解体工事業
工作物を解体する工事を行う事業者を指します。
2016年6月1日に建設業法の改正によって、とび・土木工事から分離して新設された業種であり、現在ではひとつの専門工事として認定されています。